旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦

PEUGEOT 208

関西と九州を結び、福山市を横断する物流の大動脈、国道2号線沿いにプジョー福山がリニューアルオープンしました。今回はこの福山を知り、プジョーを知る旅として、プジョー福山を起点に数々の映像作品の舞台として知られる古の港町、鞆の浦を巡りました。旅の相棒は208。精悍なデザインとキビキビとした走り、そして使い勝手の良さが光るコンパクトハッチバックは、どんな発見をもたらしてくれるのでしょうか。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真1
動力船や鉄道が登場する明治期以前は、あらゆる旅人が鞆の浦を訪れた。その中には万葉の歌人として知られる大伴旅人をはじめ、ここで体制を整え直して京都に攻め戻り、室町幕府を開いた足利尊氏や、織田信長に京都を追われ、毛利氏を頼ってこの地に幕府を構えた最後の将軍足利義昭も含まれている。

コンパクトカーにこそ表れる実力

プジョーの生まれ故郷であるフランスとその周辺諸国には、フラットで広くスピードを出せる道ばかりではなく、意外なほど日本と似通った交通環境がある。たとえば中世の城壁に囲まれた旧市街地の道は狭く迷路のようで、またアルプスの山中に点在する街を結ぶ山道も、さらには地中海に面した断崖に張り付くように刻まれた海岸沿いの道も狭く曲がりくねっている。そこで暮らす人々に選ばれるためには、コンパクトでありながら実用的なスペースを持ち、キビキビとした走行性能を備える必要がある。まさに我々日本人が求めるものと共通しているのだ。もちろん、限られたサイズとはいえ、その中に個性的で美しいスタイルを表現しなければならないことは言うまでもない。コンパクトカーにこそ、それぞれの自動車メーカーの実力が表れると言われるゆえんである。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真2
鞆の浦の内と外が見渡せる大波止(波止場)は江戸時代の面影をそのまま残す。福山市市制施行100周年を記念した映画『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』(2016年公開)での回想シーンに登場した。

そんな厳しい眼が向けられるヨーロッパにおいて、2020年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのがプジョー 208シリーズである(その後2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞)。欧州市場では発売直後から、とりわけ競争が激しいコンパクトなBセグメントのベストセラーの座を常に争うヒット作となっている。しかもEV(電気自動車)の「e-208」が同時に設定されたのも大きなトピックだ。日本市場向けにはガソリンターボとEVが用意されており、ユーザーがそれぞれのライフスタイルに合わせて自由にパワーユニットを選択できるという、現在のプジョーが掲げる“POWER OF CHOICE”のスローガンを象徴するモデルでもある。今回の旅の相棒である208のガソリン仕様は、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを4年連続で受賞(2015~2018年、1.0~1.4L部門)するなど定評のあるPureTech1.2ℓ直噴ターボエンジンを搭載する。しかもトランスミッションはこのクラスでは他に例がない電子制御トルクコンバーター式8速ATが組み合わされた。全長4m前後のBセグメント車ではCVTが一般的だから贅沢なことこのうえない。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真3
鞆の浦は幕末の海援隊いろは丸の衝突・沈没事故の舞台のひとつでもあったから、坂本龍馬ファンにとっても見逃せない名所。幕府に追われていた龍馬が身を隠したという屋根裏部屋もそのまま残されている。

古い街並みにも映える

208で向かったのは瀬戸内海に面する福山市の南端の港町「鞆の浦」である。広島県東部の沼隈半島の先端に位置する鞆の浦は、古来、風待ち、潮待ちの港として知られた交通の要衝。東西方向に潮の流れが変わる境界たる鞆の浦が旅の中継地点となるのは当然であり、今日まで多くの旅人が鞆の浦を訪れた。そんな自然と文化の交差点といえる鞆の浦の中心部は伝統的建造物群保存地域に指定されており、近年ではその貴重な風景を求めて多くの映画やドラマ制作隊が詰めかけている。その評判は海を越えてハリウッドにも届き、『ウルヴァリン』のヒュー・ジャックマンも鞆の浦を訪れたという。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真4
映画などのロケ地として積極攻勢をかけているわけではないのに、なぜか最近は依頼が多いと語ってくれたふくやまフィルムコミッションの宗野慎司事務局担当主事(右下)。「本当にありがたいことですが、ハリウッドから連絡が舞い込んだ時には信じられませんでした」 地元愛と自然体が福山人に共通する特質かもしれない。
旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真5

斬新さとモダンさが凝縮された躍動感にあふれる208を古い街並みに置いてみると、ファロ・イエローのボディカラーとも相まって、とても鮮烈な印象を受ける。今ではプジョー・ファミリー共通の特徴であり、ライオンのかぎ爪を模したデイタイムランニングライトやテールライトもきめ細やかかつ鮮やかに輝き、見間違えることのない個性を主張していた。直感的な操作を可能としたレイアウトの運転席周りは、重要度の高い情報をメーター手前に浮き出して表示する3D i-Cockpitに進化。運転に集中できる環境がさらに整えられたこともあって、鞆の浦の狭い路地でも注意が削がれないのがいい。加えてアクティブセーフティブレーキやトラフィックサインインフォメーションなどの安全にまつわるサポートも万全だから、コンパクトなサイズも含めて街散策には格好のパートナーといえよう。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真6
この地が発祥の漢方薬酒を扱った保命酒屋(現・太田家住宅)横の路地は『流星ワゴン』(2015年放映)や『男たちの大和』(2005年公開)などに登場。
旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真7
江戸後期に建てられたという、黄色い塗り壁が特徴的な隠れ家 作右衛門脇は『スパイ・ゾルゲ』(2003年公開)の冒頭シーンに使われた。

穏やかな水辺も絶景の尾根道も

もっとも、鞆の浦はおよそ300年前の江戸時代元禄期の町割りと細い路地が残り、扱いやすい208といえどもすれ違いには気を遣わなければならないほど狭い場所があるから、その走りのパフォーマンスを堪能するには近くにいくらでも存在するワインディングロードを目指したほうがいい。おすすめは鞆の浦や瀬戸内海を見下ろしながら沼隈半島を縦断するグリーンラインだ。ここでの208はまさに水を得た魚のように生き生きと駆け回ってくれた。わずか1.2ℓという小排気量の3気筒ターボとは信じられないほど吹け上がりはスムーズで、実用域での豊かなトルクがスロットル操作に即応してくれるのが頼もしい。上級クラスと同じ8速ATは鋭い加速と高速走行時の効率を両立させ、活気あふれる走行性能を支えてくれる。正確でスタビリティの高いハンドリングはコンパクト・プジョーの良き伝統で、最新の208にも受け継がれているのはいうまでもない。そんな快活さを持ち合わせながら、ストロークに富む足回りが路面を問わずしなやかで快適な乗り心地を伝えてくれるのが新世代ハッチバックの真骨頂といえるだろう。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真8

7000もの島々からなる日本を象徴する多島海の風景が広がる瀬戸内海。穏やかな海では防波堤が低く、人々の暮らしと水辺が近いのも魅力だ。沼隈半島には眺望のきくワインディングロードが点在し、その西側の内海大橋を渡った田島や横島の外周路は美しいビーチにもつながっている。博物館のような古い港町でかつて行き交った数多の旅人に思いをはせ、穏やかに煌めく水辺を走る。そんなドライブ旅の醍醐味が凝縮された福山の海辺は、コンパクトなサイズに作り手の知恵と技がギュッと詰まった208こそよく似合う。

旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真9
旅するプジョー 208で行く古の港町、福山市鞆の浦 写真10
京都が1200年の都なら、万葉集にその名を見つけることができる鞆の浦はさらに古い1300年の港町とも言える。海上交通の要所となったのは、鞆の港が瀬戸内海のちょうど中央に位置することが理由だという。(冒頭の常夜燈前写真は特別な許可を得て撮影しています)
旅するプジョー 地図
今回はプジョー福山を起点に、芦田川の河岸道路を南下して鞆の浦へ。古の港町を抜けた先では穏やかな瀬戸内の海を横目にドライブが楽しめる。さらに西進して田島や横島のビーチを目指すもよし、島々を見渡しながら小気味良い走りが楽しめる峠道の「グリーンライン」もお勧めのルートだ。

プジョー福山

2021年6月に福山市津之郷町の国道2号線沿いに移転オープンしたプジョー福山は、日本国内で初めて新ブランドロゴ、デザインを採用したショールームです。

展示スペースを大幅に拡大、カスタマーラウンジや独立した商談ブースを備え、アフターサービス専用エリアを確保するなど、より快適にお過ごしいただける環境をご用意いたしました。きめ細やかで丁寧なサービスを信条に1人1人のお客様に寄り添って、最適な1台をご提案させていただきます。

photo=Hidehiro Tanaka text=BLEU